義山公治家記録寛永15年4月20日条  取意文

発給者 忠宗 受給者 成実 

わざと飛脚を以って申し候。されば去年洪水について、このたび上様より銀子5000貫目御借りなされ候。右の御礼親類中そのほか下々まで申し上ぐべき様も御座なく候とて、其方御上り候いてしかるべきよし、ここもと懇ろの衆仰せられ候間、ご大儀は申すに及ばず候えども、早々の御上り待ち申し候。遠路の義に候あいだ、余人なりとも上らせ申したく候えども、かようの大分の御礼に候間申し進ぜ候。いかにもいかにも軽々と人少なにてお上りしかるべく候。

一、右の御礼に昨19日に登城つかまつり候えば、御前近く召しなされ、御諚には、去年在所大水つぶさに聞かせられ候。笑止千万に思し召され候。かように仰せ出さるの由いろいろ忝き御諚ども筆紙に申されず候。

一、上様御気色一段よく候いて、参府以後両度お目見えつかまつり候。上下万民大慶これに過ぎず候。急ぎ早々申し候。恐々謹言

なおなおかようなる仕合せ人の上にも承り及ばず候。各、満足なすべくと存ず事に候。急ぎ早々申し候。いかにもいかにも軽々と御上りしかるべく候。以上。

卯月20日           忠宗 御書判
    伊達安房殿

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