其元堰普請相究候由、可然候、萬用所共隙明候哉、左様ニ候ハハ、帰可然候、若不調之儀も候ハハ、大儀ニ候共、二三日逗留可然候、一賀彦左衛門進候を相馬之於熊川とらへ候由申候、其方よりも状参候ハハ、可相返由、泉内蔵助殿被仰而、籠ニ入被指置候由申候間、状越可然候、兼而ほう礼なと之事いかが候や、失念申候、兎角四良兵衛殿へ状遣、談合申候而、逢互之為ニ候間、法礼成共遣請取可然候、刀なと之事は追懸参候者、相馬之者ニ出可申候由、申合候由候間、左様之事ハ被申間敷候由存候、乍去、互之為ニ候間、惣別之持しりハ被相返候様ニ申度候、如何様之者ヲ取進可申も難計候、談合すぐニ申候而可然候、様子之儀ハ、茂平次ニ相尋可然候。恐々謹言
三月十八日 成実
志賀備後殿
尚々、苗代ハ此方ハ仕舞申候体ニ候、其元、弥左様可有之候、勘解由家ヲ作進可然候つる、失念申候而、不申付つる、雅楽丞所へ申遣候、ひうかあとかけさせへく由存候而、明日忠衛門ニ参候へと申付候。
そこもと堰普請、あいきわめ候よし、しかるべく候。よろず用のところとも、隙明候や。さように候はば、帰りしかるべく候。もし不調の儀も候はば、大儀に候とも、ニ三日逗留しかるべく候。一賀彦左衛門進じ候を相馬の熊川に於いてとらえ候よし、申し候。そなたよりも状参り候はば、あい返すべきよし、泉内蔵助殿仰せられて、籠に入れ差し置かれ候よし、申し候間、状越ししかるべく候。かねてほう礼などの事いかが候や。失念申し候。とかく四良兵衛殿へ状遣わし、談合申し候て、逢互のために候間、法礼なりとも遣わし請け取りしかるべく候。刀などの事は、追いかけ参り候者、相馬の者に出申すべく候よし、申し相候よし候間、さようの事は申さるまじきよし存じ候。さりながら、互いのために候間、惣別の持しりはあい返され候ように申したく候。いか様の者を取り進じ申すべくもはかり難く候。談合すぐに申し候て、しかるべく候。様子の儀は茂平次にあい尋ねしかるべく候。恐々謹言。
三月十八日 成実
志賀備後殿
なおなお、苗代は此方は仕舞申し候体にて候。そこもと、弥さようこれあるべく候。勘解由家を作り進じしかるべく候つる、失念申し候て、申し付けずつる、雅楽丞ところへ申し遣わし候。ひうかあとかけさせべくよし存じ候て、明日忠衛門に参り候へと申し付け候。
そこもとの堰の普請が終わったようでもっともなことだ。さまざまな用も済んだだろうか。済んだならば帰ってくるように。もしもまだ調っていないことがあれば、面倒だろうがニ三日逗留するよう。
一賀彦左衛門から注進があったのを、相馬の熊川でとらえたとのことだ。そなたより手紙がきたなら返すと、泉内蔵助殿がおっしゃって、籠に入れて差し置かれているとのことなので、手紙を出すように。
かねて法礼などのことはどうだろうか。失念していた。とにかく四郎兵衛殿へ手紙を出して相談し、互いのためであるから、法礼なりとも遣わし、受け取るように。
刀などのことは、追いかけていった者が相馬の者に出すと言ってきたとのことだが、そのようなことは言わぬほうがよいと思う。けれども互いのためであるから、惣別の持しりは返すように申したい。いかような者を取り進めたものか、推測しがたいので、相談をすぐにするように。
様子のことは茂平次にたずねるよう。恐々謹言。
三月十八日 成実
志賀備後殿
なおなお、苗代はこちらはだいたい仕舞っている。そこもともそのようにするように。
勘解由に家の作事をするよう申し付けようと思っていたが、失念していて申し付けていない。雅楽丞のところへ申し遣わした。日向あとかけさせようと思い、明日忠衛門に参上するよう申し付けた。