天正18年8月27日 伊達政宗書状

愛宕も照覧、これより脚力を以て申すべきところに、遮って細かに示し預け候、一段本望の至りに候。安積・須賀河のことも、如何なるべく候や。左様に候は、かの筋の仕置の義、堅く成(成実)に任せ置くべく候間、月日少々暮れ行き候とも、相待たれるべく候。とかくに成御手前、悪しく候様には、申すまじきよし存念に候。拙分別相届かず候ところは、是非に及ばず、ここもと聞こし召すべく届候。なおその口出馬の砌、申し承るべく候間、先ず早々。恐々謹言。

追啓。かの地のこと、先ずもって拙者抱えに成り置き候間、もともと御心もとなく候まじく候。以上。

8月27日 政宗 御書判

五郎殿

てきとう意訳

愛宕も照覧、こちらから早く連絡しなければいけないところ、かえっていろいろとありがとう。安積・須賀川がどうなるかというと、そのことについては、かの筋の仕置だが、堅く成実二任せ置こうと思っているので、月日が少々長くかかっても、お待ち願いたい。とかくに成実の御手前は悪くないようにしようと思っている。私のの分別が届かないときは、どうしようもないのでわかってほしい。なお、その口に出馬のときに、相談しようと思っているので、取り急ぎこれで。

追伸。かの地のことは伊達領になるので心配しないでほしい。以上。

勝手な感想

二本松を領し、安積・須賀川の方面司令官だった成実。奥羽仕置でどうなるの? と成実が政宗に突っ込んだ模様。6月9日には、「所領はほぼ安堵の感触」と書き送った政宗だが、この頃には一部召し上げの雰囲気がでていたことがうかがわれる。
「聞き届けられなければどうしようもないんだ、わかってくれ」
と政宗の文章にも泣きが入る。
なんとなく成実に対する言葉づかいも、気をつかってか、いつもより丁寧な気がする。

「成実と書簡」へ戻る

Page Top