一 かように塩松は御弓矢に候えども、八丁目に我等親おり申し候ところ、二本松境は事切れこれなく候。その子細は右に書きつけ候ごとく、強きところへ身上を持ち相立て候について、義継、大内備前に加勢なされ候とも、伊達の弓矢つのり候はば、伊達へ御侘び申すべき分別と見え候。また親実元分別には、
「会津・仙道の衆、塩松へ相助け候。田村は敵は敵に候あいだ、二本松領中ばかりを通り候あいだ、義継に疑心申し候」
よう思案され候て、境を鎮め申し候。その枝分を政宗公へは申し上げられ候えども、我等若輩に候あいだ、聞かせ申されず候。この境事切れ候はば、いや煩い強くなるべく候あいだ、申し上げ事切れつかまつるまじく候我等に両度まで誓紙をいたされ、八丁目・二本松境無事につかまつられ候.