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成実記の謎

 「成実記」には大きく分けて「成実記」「伊達成実日記」「政宗記」の3種の異本がある。「伊達史料集」の解題によると、 「成実記」「伊達成実日記」を最終的に編集したものが「政宗記」であると一応考えられるが、3種とも構成の加筆と思われる部分がある、とのこと。

 「政宗記」後半の政宗の日常や人柄、家臣の取立てなどは、政宗側仕えの人間の筆、と思われる部分もあるが、将軍家との宴席への同席、片倉景綱などの取立てを「数にも入らぬ者を取り立て、しかもそのメガネに曇りがない」と感嘆している部分などに見られる自分の出自への誇りは、成実の筆であることを十分に信用させてくれる。

  「成実記」の軍記としての記録は、成実の出奔前――豊臣秀次の失脚まででほぼ終わる。、その後も成実が当事者として軍記を書きうる事件は、関が原(これは簡単に触れられている)、白石攻城、福島合戦、大阪の陣、最上御陣とあるが、これらはほとんど記載がない。また、藩政がらみの記載もない。
  大阪の陣については、片倉重綱の細かい覚書が伊達家文書に残っており、治家記録の記事もほぼこれに沿ってます。
  成実も当然、各合戦に際しては、細かい覚書をつけていたはずで(だから後年「成実記」は書ける)、帰参以降の各合戦に関して覚書がまったく残っていないのは……。治家記録に記載がない、ということは治家記録編纂時にすでになかったと考えられるわけで。

 なぜ、成実は軍記の筆を秀次失脚までで止めたのか?
  成実の実像にせまる深い鍵がここにあるような気がする。

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