一 政宗公、少々御気色無揃……

一 政宗公、少々御気色無揃につき、二本松への御働きあい延べ、4月始めに御働きなされ候。内々近陣をなされたく思し召し候えども、去年のごとく御行き、会津山城より安積の御出馬に候はば、城を巻きほこし御出馬なされ候ことを、如何思し召され、北南東三方より、5日御働きなされ候えども、内より1人も出ず、矢来懸など二度候えども、城よく候条、御攻めなされ候こともなり難く候て、小浜へ御篭りなされ候。しかるところに、相馬義タネより御使者候て、我ら親類に候えども義タネ御頼み候につき、小浜へ参り、御無事御取り扱いに候。別っして御題目もこれなく、二本松篭城あい除き候ように、と御扱いにて、同年7月16日本丸ばかり自焼にて、会津へ引き除かれ、地下人は思い思いにあい除き候。我らに
「城受取申すべき」
よし仰せつけられ候間、その日まかり越し本丸に仮屋をつかまつり申し候。政宗公7月26日に、二本松へ御出で御覧なされ候て、その日帰りなされ候。

「成実記 目次」

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